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ドクターコラム
スポーツプレックス提携のドクターが、お届けする、医療面からのコラムです。
非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を知ってますか?(3)
以前は“脂肪肝のひどいもの”程度に扱われてたものが、今考えればNASHであったといえます。
当時、脂肪肝は肝機能障害を呈するものの、基本的には肝硬変や肝癌に直結するものではない、“良性”の疾患と考えられていま
した。したがって、その対策についてもあまり真剣な指導はされておらず、“食べ過ぎないようにして下さい”、“運動して下さい”などの指導にとどまっていました。
医師も患者も、そう重大な病気という認識はなかったのです。

しかし、近年、NASHの存在や病態が明らかにされ、重症化するケースも報告されてくると、当然、その対策についても積極的な議論が展開されるようになりました。
NASHに対する対策の第1番目は、NASHをきちんと診断することから始まります。
しかし、NASHなのか、単なる脂肪肝なのかは通常の血液検査だけからは判断が難しく、現在、NASHの確定診断には肝生検(身体の外から肝臓に細い針を刺し、肝臓の一部を採取して、肝臓の組織を顕微鏡で観察する病理検査)が必要です。これは身体への侵襲が加わる検査であり、何処でもできる検査ではありません。ただ、

1)超音波検査で肝臓への脂肪沈着が確認されている 
2)通常の脂肪肝にしてはGOT, GPT, γGTP(ガンマGTP), ALPなど、肝機能の数字が高い 
3)肥満、高血圧、高脂血症、糖尿病などの危険因子を重複して存在する

などのケースではNASHである可能性が高くなるので、専門医に相談する価値があるでしょう。

NASHと診断された、あるいはNASHがひじょうに疑わしいと診断されたならば、まず、行っていただきたいことは減量です。
では、なぜ減量が有効なのでしょうか?
前回お話したようにNASHには内臓脂肪の蓄積が深くかかわっています。内臓脂肪からは脂肪酸という物質が門脈という血管を通して、直接肝臓に流入します。肝臓に流入した脂肪酸は肝臓の細胞内で酸化を受け消費されたり、中性脂肪の合成に利用されて再び血液中へ放出されます。ここで内臓脂肪量が多くなると、肝臓に大量の脂肪酸が流入することになり、その結果肝臓の処理能力を超えるため、肝臓に脂肪が蓄積し脂肪肝が完成するのです。

このように内臓脂肪の蓄積は脂肪肝の発生に深くかかわっているのです。
さて、これで脂肪肝が完成したとして、これからどうやってNASHに移行してゆくのでしょうか?

石田浩之(いしだひろゆき) 慶應義塾大学病院 スポーツクリニック助手 医学博士

日本臨床スポーツ医学会評議員
日本肥満学会会員
米国スポーツ医学会会員
欧州スポーツ医学会会員

経歴  
1987年 慶應義塾大学医学部卒 
同内科、老年科を経て1995年より現職 
生活習慣病や動脈硬化危険因子に対する運動療法が専門。

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